「今度こそ、手を離す。」  〜長の年月〜

オープン当初から四つもあった連載のうちひとつがまず完結しました。
最初から悲恋で死ネタありとお断りしていたのに、予想外なほど御支持をいただけていて驚いています。
モチーフというか、参考にした文献があって、そのストーリィを念頭に置いての制作とも言えましたので
「長の年月」にはある程度の筋や話の行く末はおおまかにでしたが見えていました。
ラストにくるエピソードにはいくつかの候補がありましたが、
今回選んだヒロインの自殺とも言える行為、蔵馬の無理解と後悔、エゴによる執着というものは
いちばん嫌いなエピソードでした。
わざと嫌な終わり方にしてみようとなぜだか思ったのでした。
大いなる真実の愛情の前に若さや美しさを失うことを気にかける人はいないのかもしれませんが、
一緒に老いることができないときはどうなのでしょう。
くだらない問題に引っかかって悩み苦しみ、自らを手放した本作のヒロインを愚かと呼ぶことも
たぶんできるのでしょうけれど、それも書きたかったのかもしれません。
よくわからない表現も、曖昧なラストも、もしかすると書きたかったのかもしれません。
すべてのお話には必ず終結があるはずで、それは話の流れから自然に行き着くもののはずで、
とってつけたようなハッピーエンドもその逆も選びたくなかった。
納得のいかないような終わりを迎えることもまたありだろうと、こうして完結を見ました。
蔵馬は、本意か不本意か、一歩先へ踏み出しました。
原作の外で勝手に書いた話で言うべきではないかもしれませんが、
原作の彼に向かっても、その先になにがあるのか、希望だといいけれどと思ってしまいます。
なにが待っていても、それも確かに永遠に続くものではないのですけれど。

応援してくださった皆様、ありがとうございました。
よろしければ、御感想などお聞かせいただけると嬉しいです。

雪花。













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