初体験


「ねぇ、蔵馬…早く」

「う、ん…まぁ、いいけど…」

は期待に満ちた目で蔵馬を見つめているが、きっとそんなに良いものじゃないだろうと蔵馬は思っている。

初めて、なんだから。

どうなってしまうのか、終わったあとのことはあまりわかっていないに違いない。

「…ああ、やっぱり」

「できないの? 意気地なし…」

「そういう問題じゃなくてだね…」

を凝視していた目線を外し、蔵馬は少し彼女から離れる。

「きっと痛いと思うんだけど…大丈夫?」

「…痛いのなんて当たり前でしょ?」

「…そうだけどね…」

「私の覚悟はできてるもん…あとは蔵馬が頑張ってくれればそれでいいの」

「…………」

はぷいとそっぽを向いてしまった。

「…蔵馬が嫌なら、他の人のとこに行くもん」

「…わかったから」

の耳元にかかる髪をゆびでそっと払いのける。

「…蔵馬のほうが恐がってるんでしょ」

「そりゃあね…可愛い彼女に、傷をつけるんだから」

「傷じゃないってば」

にとってはそうかもしれないけどね…こっちにだって覚悟はいるよ」

「…優しくしてね?」

「…わかってるよ」

突き当てられた瞬間、は迫り来る緊張感に思わずぎゅっと目を閉じた。

「動かないでね、できるだけ痛くないようにするから…」

「うん…」

「…行くよ」

吐息混じりに囁いた言葉が耳に届いた刹那。

硬い感触が走り抜けるようにを貫いた。

「ん………!!」

「あ、ゴメン…大丈夫?」

「痛った…」

「…ああ、血が出てる」

蔵馬は指先で血の滴をそっと拭った。

「熱い…じんじんする…」

「すぐに慣れるよ…可愛い、

「ん…蔵馬、そこだけじゃイヤ…こっちも」

はまだ痛みと熱さに顔をしかめながらも、蔵馬の手を取って導いた。

「こっちも? 性急だな」

「いいから、早く…」

「まったく、君って人は…どうして急にこんなことを? 誰に教わったのかな…」

「だって、みんな…してるんだもん」

「悪い遊びばかり覚えて、オレを困らせるんだから…」

「悪い遊びって…蔵馬だってイヤじゃないでしょ…?」

「まぁ、ね。またひとつのカワイイところを知ったわけだし」

オレがそんなの姿を見る最初のひとりだしねと、蔵馬は満足そうに微笑んだ。

「ここ…?」

「ん、違う…ここ」

「こう?」

「あ、いい…そのまま」

「わかった」

続けざまに貫かれ、更なる痛みと熱とには熱い息を吐く。

「んぅ…痛い…」

「…だから、無理しない方がいいって…言ってはいないけどさ…」

「血、出てる…?」

「少しね…痛いのはすぐやわらぐよ、ちょっと我慢して…」

「あ…涙出てきた」

ふいに緩んだ涙腺に、は慌てたように目元を拭う。

「可愛い、

蔵馬は優しく微笑んで、目元を隠すの手を外すと、そっとキスをする。

「…満足した?」

「うん、満足した…でもまだ熱い、じんじんする…予定外だよこんなの」

「したかったんでしょ、それでも。ちょっとくらいは我慢しなさい」

「ん…ありがと、蔵馬…」

「いいえ、どういたしまして」

蔵馬はまた何度も可愛い、と言いながら、に優しいキスを贈り続けた。




















彼女の処女耳に彼氏がピアスホールをあけたときのおはなし。

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